Merlin Labs 🇺🇸
所在地:マサチューセッツ州 (米国)
累計調達額:$133.5mn (約206億円)
最新調達:Acq: Bleichroeder Acquisition (2025年8月 $4.1bn (約6,314億円 154円レートで計算))
著名投資家:First Round Capital, GV
著名防衛投資家:Harpoon, Snowpoint Ventures
事業カテゴリー: 自律システム・オペレーション
主要領域:航空領域
事業内容:固定翼機向け自律飛行システム「Merlin Pilot」の開発・運営
Merlin Labsは2018年、FAA認定プライベートパイロット資格を有するMatt George氏により設立された米国の航空自動化テック企業です。同社は、固定翼機向けの完全離陸・着陸対応自律飛行システム「Merlin Pilot」を核とした航空自動化技術を提供しているとされています。従来、航空業界ではパイロット不足の深刻化に加え、複雑な飛行操作や長時間フライトに伴う乗員の作業負担が、安全性および運航コストの両面で課題と指摘されてきました。Merlin Pilotは、特定機種に依存しないAI駆動型システムとして、飛行の全フェーズを管理する機能(Aviate)、複雑な飛行経路の追従や障害物回避を行う機能(Navigate)、航空交通管制との音声・自然言語処理による通信機能(Communicate)を統合的に提供し、既存の固定翼機に組み込むことで、減員運用から将来的な完全自律飛行までを視野に入れた運用形態の拡張を可能とするプラットフォームとして位置づけられています。民間領域では、2021年5月に世界最大のBeechcraft King Air保有機数を持つとされるDynamic Aviationとのパートナーシップが発表され、同社が保有する55機のKing Air機への自律飛行技術統合を進めていく方針が示されています。また、米国最大のPart 135貨物航空会社とされるAmeriflightともパートナーシップを締結しており、貨物輸送における運用効率向上と安全性強化に資する自律飛行技術の適用拡大が図られているとされています。一方防衛分野においては、2024年6月に米特殊作戦軍(USSOCOM)からC-130J Super Hercules輸送機への自律飛行能力統合に関する契約を1.05億ドル (約165億円) で獲得したと公表されています。この不定数量契約(IDIQ)は、国防総省で広く使用されている貨物プラットフォームであるC-130Jを対象に、統合設計、地上試験、完全離陸・着陸の実証、高度な自律機能の成熟、他の特殊作戦部隊機への追加統合などを段階的に進めるものとされています。2024年2月には、米空軍とのKC-135 Stratotanker給油機への自律飛行能力統合に関する契約が締結されたとされており、Air Mobility Command(AMC)およびAir Force Materiel Command(AFMC)との協力のもと、乗員作業負担の軽減から減員運用、最終的には無人自律運用を視野に入れた段階的な適用が検討されていると予想されています。
事業状況:
Merlin Labsは、2025年9月に航空宇宙大手GE Aerospaceとのパートナーシップが発表されました。同協業では「Autonomy Core」と呼ばれる次世代自律・パイロット支援プラットフォームを共同開発し、GEのFlight Management System(航法や飛行計画の管理を担う機上システム)を搭載する軍用機・民間機へのMerlinの自律ソフトウェア統合が計画されています。初期対象としてKC-135 Center Console Refresh(CCR)プログラム(KC-135空中給油機の操縦席の中央操作盤や計器表示を、より新しい装備に置き換える更新プログラム)が位置づけられており、今後、輸送機・給油機・民間航空機への展開が期待されています。
注意: 本稿は、公開情報および政策文書に基づく一般的な整理を目的としたものであり、特定の企業、技術、能力の優劣や戦略的示唆を意図するものではありません。個別の分析や議論については、関係者間の適切な枠組みのもとで行われるべきものと考えています。