防衛用語集一覧

本資料では、防衛関連の用語、特に「能力(Capability)」に関する用語を中心に解説しています。JDTIが定義する6つの能力区分を参照しておりますが、本資料ではそのすべてを網羅しているわけではありません。

掲載にあたっては、各用語が複数の能力区分にまたがって使用されるケースが多いことを踏まえ、当該用語が主として活用される区分に分類しています。また、能力区分とは別に「政策略語」を独立した区分として新たに設けており、本資料では実質的に4つの能力区分と政策用語の計5区分で構成しています。

各用語の分類はあくまで参考としてご理解いただき、ぜひ読み進める際の手引きとしてご活用いただければ幸いです。

  • 陸・海・空・宇宙・サイバーの全領域を横断して同時・統合的に作戦を展開する現代の戦争遂行概念。単独ドメインの優位より「領域横断の相乗効果」を重視する

  • 搭乗員なしで動作するすべての無人機・無人艦艇・無人車両の総称。UAS・USV・UGV・AUVなどを包含する上位概念

  • 有人システムと自律型無人システムがAIを介して動的に役割を分担し協調行動する概念。

  • 多数の小型ドローンがAIで協調しながら一斉行動する概念。個々は安価でも集合的に飽和攻撃や広域偵察を実現する

  • 「観察(Observe)→情勢判断/適応(Orient)→意思決定(Decide)→行動(Act)」のサイクル

  • 偵察(センサー)と攻撃(シューター)を自律的に連接するシステム概念。ARX RoboticsやHelsingのAI等がこの連鎖を実現する技術として言及されている

  • 敵のUASを探知・妨害・撃墜するシステム・技術の総称

  • 敵の活動が疑われる地域に発射され、その上空を数時間「徘徊(loiter)」しながら、自律的に標的を探して攻撃するドローンの一種

  • ドローン本体(UAV)、地上管制装置、通信リンクを含む「システム全体」を指す。単体の機体を指すUAVより広い概念

  • 操縦者が搭乗せず、遠隔操作または自律で飛行する航空機。いわゆる「ドローン本体」

  • 攻撃任務(爆撃・対地攻撃等)を担う無人機システム。有人戦闘機の代替・補完として開発が進む

  • 自律的に水中を移動し、海底調査・機雷探知・水中偵察等を行うロボット。ケーブル不要のためROVより活動範囲が広い

  • 海上を自律または遠隔で航行する無人船。海洋監視・機雷探知・哨戒・武装対応等に活用される

  • 水中を無人で活動するすべての機体の総称。自律型(AUV)と遠隔操作型(ROV)の両方を包含する上位概念。AUVと混同されやすいが、UUVはより広い概念。

  • USVのうち特にAI・自律航行能力を強調した呼称。Saronic TechnologiesのCorsair等が代表例

  • ケーブルで繋がれ人間が遠隔操作する水中ロボット。AUVとの違いは「自律性がなく有線制御」。海底点検・捜索救難に使用

  • 操縦者がゴーグルを通じカメラ映像をリアルタイム視認しながら操縦する小型機。近年の戦場で広く使用されている

  • 電動モーターで滑走路なしに離着陸できる次世代航空機。軍では物資輸送・医療後送・偵察等への応用が検討されている

  • 電動に限らず垂直離着陸が可能な航空機の総称。ヘリコプター・チルトローター等を含む

  • 前線付近での近距離偵察任務。Skydio等の小型UASが担うカテゴリー

  • パイロットの視認範囲を超えた距離・場所でのドローン飛行。軍・民間共に重要技術で、法規制対応が課題

  • DIUが安全性(サイバーセキュリティやサプライチェーン要件)を審査・認定した「商用ドローンの完成機(Cleared List)」および「部品(Framework)」の両方を指す。

  • 緊急事案発生時に警察・消防より先にドローンを現場に到達させ状況確認する運用概念

  • eVTOLなどを活用した都市内・地域間の次世代航空輸送概念

  • 地上を走行・行動する無人ロボット。哨戒・爆発物処理・物資輸送・前線支援等に使用される

  • 地雷・不発弾・IEDなどを安全に処理する任務。UGVが人員の代わりに担うことでリスク低減が図られる

  • 海中の機雷を探知・除去・無害化する作戦・装備の総称。AUVやROVによる自動化が進む分野

  • 米海軍研究局(ONR)が推進する特定のスウォーミングプログラム名。筒型ランチャーから短時間で多数のUAVを連続射出し、自律協調行動させる技術を実証。

  • ロボットを購入せずサービスとして利用するビジネスモデル。Asylon Roboticsが採用するモデル

  • 宇宙空間を自律的に行動する無人機。衛星の点検・捕捉・除去・軌道変更等を担う。True AnomalyのJackalが代表例

  • 老朽化した衛星にドッキングして推力供給・寿命延伸を行う宇宙機。

自律システム・オペレーション

  • 電子戦(ジャミング)やサイバー攻撃、地形的要因によって、通信が「拒否・劣化・断続・制限」される過酷な電磁波環境を指す

  • 多数の小型衛星を特定の軌道に展開し、全球的な通信・監視能力を提供するシステム群

  • 軌道の多様性に加え、「民間(商用)の宇宙システムと、軍事・政府の専用システムを統合する」という設計思想

  • クラウドに頼らず、前線の端末・装備内でデータ処理を完結させる概念。通信が制限された環境でも作戦継続が可能

  • ハードウェア変更なしにソフトウェアで通信方式を切り替えられる無線機。複数の周波数・規格への対応が可能

  • ネットワーク構成をソフトウェアで動的に制御する技術。状況変化への迅速対応が可能で、作戦環境の変化に柔軟に対応できる

  • 基地局なしに端末同士が直接つながる自律分散型ネットワーク。前線での通信やインフラのない環境での接続に有効

  • 複数アンテナで同時に送受信し、通信速度・品質を大幅に向上させる技術。5Gや戦術通信機器に広く採用

  • 衛星・UAV等を使った地上以外の通信ネットワーク。山岳・海上・極地での接続を補完する

  • 衛星と光通信(レーザー)を行う地上施設。電波通信より大容量・高秘匿性の衛星通信が可能

  • メインの通信インフラに依存せず独立して動作する通信管理基盤

  • 防衛専用に開発せず、市場の民間製品をそのまま活用すること。コスト削減・調達スピード向上に有効

  • 小型のパラボラアンテナで衛星通信を行う装置。艦船・車両・前線基地での通信に活用

  • GPS等が提供する位置・経路・時刻の情報提供能力の総称。GPS妨害・スプーフィング時の代替手段として重要性が増している

  • GPS(米)・Galileo(欧)・GLONASS(露)・みちびき(日)等、各国・各機関の測位衛星システムの総称

  • 衛星に搭載され、主要任務(通信・観測・偵察など)を実行する機器・装置の総称。ロケットで運搬される積載物という意味もある

  • プラットフォーム(衛星・ドローン・艦船・宇宙ステーション等)に対し、ボルトオン(取り付け・取り外し)または交換可能な形で搭載される独立した機能ブロックの総称

次世代インフラ・通信基盤

衛星・レーダーによる監視・観測

  • 高度約〜2,000kmの軌道。Starlinkなど通信衛星コンステレーションが集中する層

  • 高度約2,000〜36,000kmの軌道。GPSなどの測位衛星が多い

  • 高度約36,000km。地球の自転と同期し、一点に静止して見える軌道。従来の通信・気象衛星が多く存在する

  • 常に同じ太陽光条件で地表を撮影できる軌道。地球観測・偵察衛星に多用される

  • 人工衛星を中継した通信。地上インフラが使えない戦場・遠洋でも安定した通信を可能にする

  • 宇宙空間を周回する物体(衛星・デブリ等)の位置・軌道を把握する能力。LeoLabsが代表的プロバイダー

  • SSAをさらに発展させた概念。物体追跡に加え、敵の宇宙活動・脅威の意図まで分析する能力を含む

  • 衛星・航空機等で取得した地理空間データを分析した情報。地形・施設・部隊配置の把握に使用

  • 熱放射を検知するセンサー。人体・車両・エンジンの熱源検知に有効。夜間・煙幕下でも機能する

  • 可視光カメラを用いたセンサー。光学衛星・無人機搭載型が多い

  • 波長3.7〜5μmの赤外線帯。エンジン熱など高温物体の検知に優れる

  • 電波の発信源を検知・位置特定する技術。HawkEye 360やUnseenlabsが活用しており、衛星でRF信号を収集し、不審船舶・GPS妨害源等を特定している

  • 可視光と赤外線両方で映像を取得するセンサー。夜間・低視認環境(煙幕・薄霧等)での監視・偵察を可能にする

  • 船舶が自動送信する位置・速度・航路等の情報。位置を偽るスプーフィングの検知にも活用される

  • 航空機が自動送信する位置・高度・速度等の情報。主に民間航空機の管制・追跡に使用される。軍用機は国防上の理由で装備義務が免除されておりオフにして飛行可能。

  • レーザー光を照射して対象物までの距離・形状を3D計測するセンサー。自律走行・施設点検・無人機搭載に活用

情報収集・分析

  • 防衛・安全保障の基盤となる情報活動の3機能の総称。センサー・衛星・無人機・人間等あらゆる手段で情報を収集・処理する

  • 「標的の発見→識別→追跡→交戦→評価」の一連のプロセス。AIや自律システムがこの各段階を高速化することが現代防衛の焦点

  • 自国周辺海域における船舶・活動・異変をリアルタイムで把握する能力。海上保安・防衛の基盤となる概念

  • 衛星・センサーの分析結果を「サービス」として顧客に提供するビジネスモデル。TEKEVERやHawkEye 360等が提供

  • ニュース・SNS・衛星画像・論文等の公開情報を収集・分析して得る情報。低コストで広範な情報収集が可能

  • 人間の諜報員・エージェント・尋問等から得られる情報。技術情報では捉えられない人間の意図・動向の把握に不可欠

  • 電波・通信・電子信号の傍受・分析から得られる情報。RF(電波)センサーを用いた収集が代表的

  • AIと機械学習によりセンサーデータから脅威目標を自動識別する技術。人間の判断を補助・代替する

  • AIを活用して前線のセンサー・映像データからリアルタイムで状況認識を行うシステム

  • 膨大なテキストデータで学習したAI言語モデル。情報分析・文書生成・意思決定支援等に幅広く応用される

  • LLMが検索データベースを参照しながら回答を生成・検証するAI手法。AI Primerが推進する高精度情報分析技術

  • センサー等で収集したデータをサービスとして外部提供するビジネス・調達モデル

レジリエンス・アクティブディフェンス

  • 部隊・システムに対して命令を下し、状況を管理・制御する機能全般

  • 現代の統合作戦を支える中核機能群をまとめた概念。C2(指揮統制)とISR(情報収集)が融合・拡張した形

  • 陸・海・空・宇宙・サイバー全領域のセンサー・部隊をリアルタイムで結ぶ米国の指揮統制構想。「センサーとシューターをAIでつなぐ」がコアコンセプト

  • システムを標準規格に基づくモジュールで構成し、特定ベンダー依存を避ける設計思想。部品の交換・アップグレードが容易になる

  • 米軍が使う機密指定なしの業務用ネットワーク

  • 米軍の秘密情報を扱う専用ネットワーク

  • 最高機密(TS/SCI)情報を扱う米国防総省の情報通信ネットワーク

  • 米国防総省クラウドのセキュリティ分類。数字が大きいほど機密度が高い(IL6が最高機密対応)

  • 米政府クラウドサービスのセキュリティ審査・認定制度

  • 政府・軍のITシステムが実運用環境への展開を認可される公式プロセス

  • ソフトウェア開発段階からセキュリティを組み込み、迅速に展開・更新する手法。Second FrontのGame Wardenがこの分野の代表的プラットフォーム

  • 無人機・センサー等が異なるメーカー間でもデータ連携できる標準インターフェース規格

  • スマートフォン・タブレット上で部隊位置・状況図・通信を統合表示する米軍発の戦術アプリ

  • 前線エリアの防空システム(対ドローン・防空ミサイル等)を統合的に管理・制御する指揮システム

  • 複数センサーをAIで統合管理し、C2システムへ脅威情報を自動提供するアーキテクチャ

  • PalantirのAI統合プラットフォーム。センサーフュージョン・情報共有・C2支援を統合提供する

政策用語

  • 米国防総省が商業技術を迅速に軍に取り込むために設置した機関。シリコンバレーに拠点を置く

  • 米空軍のスタートアップ連携・資金提供プログラム

  • 米国防省が中小企業・スタートアップに研究資金を提供する制度

  • AFWERXが有望技術に大規模な追加資金を投じるプログラム

  • STRATFIより小規模・短期の資金提供プログラム

  • 通常の政府調達規則によらず迅速に契約できる柔軟な調達制度。スタートアップとの連携に多用される

  • 数量・納期を事前確定せず、必要に応じて発注できる政府調達契約形態

  • 有望な民間技術を素早く部隊展開に結びつける米国防省の取り組み

  • 国防省全体のAI・データ戦略を統括する組織

  • NATOが設立した、加盟国のスタートアップ技術を安全保障に取り込むための機関

  • 米国防衛産業の主要業界団体

  • 米宇宙軍のスタートアップ連携・資金提供プログラム。AFWERXの宇宙版

  • 中小企業と研究機関が連携して防衛技術を開発するための資金提供制度